5.分娩室 その25.分娩室 その2午後9時00分 一人でいきんでいる間に赤子が下りてきてしまい、助産婦さんと 看護婦さんが慌てて準備をしている中、Tシャツのままの先生が走って到着。 分娩室で白衣に着替えている。 どうにかこうにか準備が整い、いよいよ本格的な分娩が始まった。 先生が真正面に座り、その傍らで陣痛監視装置を見ながら 助産婦さんが指示を出す。 指示に従っていきむんでいるうちに 下腹部になんともいえない圧迫感が襲ってきた。 陣痛の痛みとはまったく違う、熱いものがこみ上げるようなズキズキした痛み!! 痛い!痛い!痛い!! 赤子が下りてきているのが自分でもはっきりわかる。 先生「頭が出てきたよ!会陰切開をしなくても大丈夫そうだけど、するとすぐに出てくると思う。どうする?」 私「切ってください!!」 会陰とは膣と肛門の間の部分で、赤ちゃんの頭が出る勢いで裂けてしまうことのないようにあらかじめはさみで切開することを「会陰切開」という。 出産する前は考えるだけでも痛そうなこの行為にかなりビビッていたのだけれど、 今は、とにかく赤子を安全に早く出してほしい! 私の痛みも早く終わってほしい! ジョキッ!! 助産婦さんが私のいきみに合わせてはさみをいれた。 「ぎゃー!痛いーっ!!」 ぐぉぉぉぉぉっ!!あまりの痛みに叫び声をあげてしまう。 「はい!体が出てきたよ!!もういきまないで!!」 会陰切開の痛みなのか、赤子の体が出てくる痛みなのか もうわけがわからない。なんだかわからぬ熱い物が噴出していくようだ。 痛いというよりも熱い!! 「はい、おめでとうございます。産まれましたよー!!」 そして、しばしの静寂の後・・・ 「オギャー」 産声が上がった。 平成14年6月12日。午後9時20分のことだ。 「よかったわね、女の子だよ」 助産婦さんが教えてくれる。 産まれたんだ、泣いてるよ。元気なんだ。 暖かな充実感が広がっていく。 そして、私には赤子が産まれたらどうしてもしたい事があった。 オットにへその緒を切ってもらう事だ。 へその緒をきった瞬間に赤子は胎児から人間の仲間入りをする。 その瞬間をオットに見届けてもらいたかったのだ。 息も絶え絶え助産婦さんにその旨を伝えるとオットが呼ばれ ジョキジョキとへその緒を切る音がした。 3355gで産まれた我が子は、目がくりくりとした オットにそっくりのとてもかわいい小さな女の子。 「よくがんばったね、これからよろしくね」 出産に立ち会ってくれたオットもとてもうれしそうだ。 初めての親子3ショットを助産婦さんにポラロイドで撮ってもらい、 赤子は処置のため、別室へ移動した。 |